給与計算は、毎月必要な業務ですが、最近はアウトソーシングをする企業も増えてきました。
人手不足と言われる業界が増えてきており「自社の人間には売上を上げる事に専念してほしい!」
そういった考えの企業は、不要な業務を他社に任せるという経営方法になってきているのです。
給与計算は、一般的に社労士さんに依頼する事になります。
しかし、社労士さん以外にも給与計算の代行はできるのでしょうか。
もしできるのであれば、デメリットはあるのでしょうか。
今回はそのあたりのお話をしたいと思います。
目次
給与計算の代行は社労士さん以外でもできる?
【給与計算は、社労士さん】
これが一般的な考え方かと思いますが、それ以外の代行も可能なのでしょうか。
結論から言うとできます。
実は給与計算を代行する場合、大きく分けて3つの方法があります。
・社労士
・税理士
・その他代行業者
社労士と税理士の違い
さて、3つの代行方法の中で、税理士を挙げましたが、社労士と税理士の違いはどのような点があるのでしょうか。
税理士と社労士の業務範囲
税理士と社労士は、それぞれが国家資格により法律に守られた職業になります。
税理士には、税理士法という法律があり、社労士には社会保険労務士法という法律があります。
この法律で定められている業務範囲があり、この業務範囲は、他の職業の人が行うことが禁じられています。
税理士の場合は
「税務代行」
「税務書類の作成代行」
「税務相談」
という3つが独占的に行える業務になります。
この業務内容は、社労士であっても行うことができません。
社労士の場合は
【1号業務】
・行政官庁に提出する届出書、申請書、報告書、審査請求などの書類を作成する業務。
・企業の就業規則、労働者名簿、各種労使協定、賃金台帳などの書類を作成する業務。
【2号業務】
・1号業務で作成した申請書等を、社会保険労務士が事業主に代行して行政官庁に提出。
・事業主の代行として、行政官庁に対して陳述、要望、主張などを行なう。
【3号業務】
人事や労務に関する相談や指導、アドバイスを行う。
書類作成や手続きだけではなく、人事や労務関係の相談・指導も行う。
が独占業務になります。
その他代行業者の利用には注意が必要!
給与計算を代行するのであれば、税理士か社労士に代行をお願いするのが良いでしょう。
その他の代行業者があることは前述しましたが、こういった会社はあくまでも給与の計算のみを代行する会社になります。
税金や法律の専門家ではないため、法令遵守という観点からもあまりお勧めできません。
例えば、法律の変更により、残業時間の規制が変わったとします。
税理士や社労士であれば、そういった内容を知らないはずがありませんので、もしも給与計算を代行していた場合に、残業しすぎているようなことがあれば、指摘してくれるでしょう。
しかし、その他の代行業者は、会社によってはそういった事に気付かずに、単なる事務作業として処理される可能性もあります。
「計算自体は合っているから、内容が間違っているのは御社の責任」
という風になってしまう可能性があるのです。
また、給与計算は正確性が非常に重要な業務でもあります。
正確性という観点から見ても、税理士や社労士の方が安心して依頼することができるでしょう。
税理士と社労士に依頼する際のメリット・デメリット
では、税理士と社労士のどちらに依頼する方が良いのでしょうか。
それぞれのメリット・デメリットについて見ていきましょう。
社労士に依頼するメリット
社労士に依頼することの最も大きなメリットは、「社会保険関係書類と入退社時の申請を代行してくれるという点」でしょう。
毎年6月〜7月に労働保険の年度更新がありますし、入退社時の申請も会社によっては非常に量が多い業務です。
また、社員が少ない会社であっても、その手続をずっとやっているわけではありませんので、手続きの方法がわからなくなる会社も多いです。
それを一つ一つ役所に確認しながら行うと、本来やるべき業務が数日間ストップするケースもあり、非常に効率が悪いです。
そういった点でも非常に大きなメリットがあるでしょう。
社労士に依頼するデメリット
社労士に依頼するデメリットとしては、税務関係の仕事は税理士の独占業務になりますので、社労士が行えないという点があります。
業種によっては、会社として致命傷になる可能性があります。
税理士に依頼するメリット
税理士に給与計算を依頼した時のメリットは、年末調整などを行ってくれるという点です。
その他にも税務関係の書類を作成してもらえるため、法定調書や合計表といった書類を作ってもらえます。
年末調整においては、保険料などの控除の計算や源泉徴収税額の過不足も計算してくれますので、非常に大きなメリットがあります。
税理士に依頼するデメリット
税理士に依頼することのデメリットは、社労士の業務が独占業務になっているため、社会保険の手続や、その他入退社時の書類の作成などを代行できないという点にあります。
社労士と税理士が提携しているケースもある!
メリットとデメリットを見てきましたが、どちらもお互いの独占業務を行えないというデメリットがあります。
給与計算だけで見れば、内容は同じになりますので、社労士に依頼しても税理士に依頼しても、それほど大きな差はありません。
多少データの形式やサービス内容に違いがあるかもしれませんが、大きな問題では無いでしょう。
しかし、年間の処理を見たときには大きな違いが出てきます。
社労士であれば税務関係、税理士であれば保険関係。
どちらか一方の簡単な方を自社でやるというのでも良いです。
しかし、社労士や税理士の中には、お互いが業務提携して、どちらもまとめて代行してくれるというケースもあります。
この場合、給与計算だけではなく、保険や年末調整などの事務作業も必要なくなりますので、最もおすすめの方法になります。
社労士、税理士どちらに任せるかは、従業員数によっても変わる!
社労士と税理士の両方に依頼するのが最もおすすめですが、料金的に厳しい場合には、どちらかしか雇えないこともあるでしょう。
その場合、多くの会社では従業員数によってどちらを雇うのかを変える事が多いです。
従業員数が20人以下の小規模の場合には、税理士に給与計算を行う会社が多いようです。
これは、別の税務処理作成に当たり、顧問税理士を付けている会社が多いので、ついでにお願いしているケースが多いのでしょう。
一方で、規模の大きい会社の場合には、税理士が給与計算を受け付けてくれないケースが多いようで、その場合は社労士に依頼するというパターンが多いようです。
●小規模の場合は税理士に給料計算を任せる
●規模が大きい場合は社労士に給料計算を任せる
まとめ
今回は、給与代行を社労士以外に依頼する事についてお話してきました。
社労士や税理士といった専門家以外にも、給与計算の代行だけをしているような会社もありますが、おすすめできない事を話してきました。
やはり、法律などが絡んでくるため、専門家に任せるのが最も安全でしょう。
また、社労士にするのか、税理士にするのかという話では、それぞれの独占業務がある事をお話しました。
そのため、一長一短があり、給与計算以外の部分での業務が代行できるか否かという違いがあり、できることなら両方に依頼するというのが最も理想的なアウトソーシングでしょう。
これからの時代、人材不足の会社は更に増えるでしょうから、アウトソーシングを早めに検討して、社内の人材は売上アップに注力するような会社にしていってはいかがでしょうか。
投稿者プロフィール
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「社労士探しのトライ」運営者の山崎です。
全国で社労士紹介のコーディネーターをしています。
社労士さんについて知らない社長さまも多く、考え方のギャップを 埋めたい!と思い立ちこのブログサイトを立ち上げました。社労士の変更、新しく社労士をつけたい方はぜひご相談ください!
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