給与計算は、毎月の作業ですが、ミスが許されない非常にシビアな業務です。
計算を間違えれば、従業員に迷惑がかかりますし、お金に関する問題ですので、多くの人はシビアに考えていることでしょう。
そこで今回は、給与計算をミスしてしまった時に役立つ情報をお話していきます。
目次
給与計算をミスすることで考えられるリスクとは?
当然のことですが、給与計算をミスしてはいけません。
しかし、どれだけ用心しても時には計算が違っていることもあるでしょう。
ここでは、改めてミスをすることにどのようなリスクがあるのかを見ていきます。
1 会社の信用がなくなる
最も重要なのは、従業員からの信用が失われることでしょう。
現在は、多くの会社で労働力不足が叫ばれていますが、信用を失って、他社に人材が流れてしまっては、会社の経営にも影響が出る可能性があります。
給与計算のミスを知るのは、本人だけとは限りません。
旦那さんが働いていて、奥さんがそのお金を管理している場合、家計簿などを付ける際にミスに気がつくというケースも少なくないでしょう。
そのような場合、本人だけではなくご家族の方からの信用も下がります。
特に、会社と直接関わりのないご家族の方に関しては、信用を失うことへの影響はより大きなものであると考えるべきでしょう。
また、会社を辞めた後にもネットなどで誹謗中傷を受ける一つの原因となる可能性がありますので、最新の注意が必要です。
2 翌月の業務への支障が出る
給与計算のミスがわかると、その月にその処理をする必要が出てきます。
そうなると、その月の給与計算に加えて、修正処理が必要になるのです。
業務に余裕があれば良いですが、次の給与計算に焦りが出れば、更にミスをする可能性が出てしまいますので、注意しましょう。
3 お金のやり取りが増える
間違っている金額によっては、会社のお金のやり取りが大きく変わってしまう可能性があります。
例えば、入社月には社会保険を控除しませんが、もしも新入社員が複数いた場合、1人だけではなく、全員間違っている可能性が高いでしょう。
そうなると、数万円の誤差が出る可能性がありますし、そのやり取りを記載しておく必要も出てきます。
もしミスしてしまった時の対処方法とは?
もしもミスをしてしまったらどのように対処すれば良いのでしょうか。
1本人にお詫びする
まずは、本人にきちんと謝罪をしましょう。
本人が気付いていてもいなくても、きちんと誠心誠意謝ることが今後の関係性にも影響してきます。
2 再度明細を作り直す
次に、再度計算し直した後の給与明細を作り直しましょう。
本人がいらないと言っても、きちんと形がわかるようにしておく必要がありますので、作り直します。
3 間違っていた箇所の詳細をきちんと説明する
間違っていた箇所の詳細を本人に説明しましょう。
・単なるミス
・社会保険料が変更になっていた
・他の人の残業時間と逆になっていた
・新しい会計ソフトを導入した
・税理士とのやり取りが上手くいっていなかった
何かしらの理由があるでしょうから、その内容をきちんと説明しておく必要があります。
4 金額を調整する
内容を説明したら、きちんと金額を調整しましょう。
この時に注意が必要なのは、「間違っていたから、翌月の給料で調整する」ということは許されません。
従業員が受け取る金額が少なかった場合には、必ず当月に現金で調整する必要があります。
また、従業員に多く渡してしまっていた場合には、あらかじめ労使協定にて「ミスがあった場合には翌月調整する」という内容が記載されています。
また本人が同意している場合に限って、翌月の給料から差し引くという形での調整が許されています。
5 今後起きないための原因と対策を立てる
どのようなミスが起きたとしても、その原因と対策を立てる必要があります。
この時に最も検討したいのは、「業務のアウトソーシング」です。
多くの給与計算ミスは、専門スタッフではない人が、片手間に給与計算を行っている事が原因です。
健康保険の値上がりや、働き方改革によって有休に関する法律も変わってきています。
こういった法的遵守の面から見ても、専門のスタッフを用意するか、アウトソーシングをする方が、ミスが無くなり、業務の負担も減ります。
そういった方針を部で検討後、改めて今後の方針として社員へ報告するのが良いでしょう。
給与計算ミスの事例とはどんなものがあるか?
では、どのような時に給与計算のミスが起きやすいのでしょうか。
1 時間外勤務
時間外勤務は、当然ですが、残業代が発生します。
この残業代も深夜勤務手当などの時間によって、計算が変わることもあれば、定時が8時間未満の場合、残業でも割増料金の付く時間・付かない時間があります。
その他、見込み残業などが雇用契約に含まれているようであれば、その計算も必要です。
また、育児の関係で時短勤務の主婦もいるかも知れません。
こういった労務管理が煩雑な場合にミスが起こる可能性が高くなります。
2 中途入社や中途退職
次に多いミスが、日割で給料を計算しないといけないケースです。
月の最初に入退社があればよいのですが、会社もしくは従業員の以降ですぐにでも働きたい場合や、突然退社しなくてはいけなくなるケースも有るでしょう。
そういったケースで計算ミスが起きる可能性が高くなります。
3 入社月・退社月
入社月には、社会保険料は控除しないのが一般的です。
しかし、雇用保険料は控除するなど、細かい計算があるため、こういったケースもミスが多いでしょう。
反対に、月末退社の場合に社会保険料を引くのが一般的なため、引き忘れ等に注意しましょう。
4 昇給・降給
給料が上がったり下がったりすると、その時は良いのですが、4ヶ月目からは社会保険料が変わってきます。
その月から変わるわけではないため、忘れがちな項目になります。
特に専任のスタッフではない場合、4ヶ月というのは非常に長いですので、忘れてしまうケースも多いのでしょう。
5 保険料
40歳になると、介護保険料の控除が必要になります。
反対に、64歳になると雇用保険料はかかりません。
このような年齢によって保険料が変わるケースは、きちんと全社員の誕生日や年齢を把握していない場合には、ミスが起こりやすくなります。
特に小さな会社では、若い人材が見つからずに年齢層の高い人を雇っている会社もあるでしょうから、気をつけてください。
【まとめ】ミスを防ぐ意味では給与計算をアウトソースも一つの手段
今回は、給与計算でもしもミスをしてしまった場合の対処方法や、給与計算の難しさ、ミスの起こりやすさという面を見てきました。
専任のスタッフを雇える経済的な余裕がある会社であれば、社内でスタッフを雇い、専用のツールなどを購入するのも良いでしょう。
しかし、人材不足に加え、その人が辞めてしまった場合の引き継ぎ等を考えると、社労士や税理士にアウトソーシングするという選択肢の方が効率的な場合もあります。
会社の状況によっても変わりますので、自社に合う社労士を探したい場合などは、ぜひお問い合わせいただければと思います。
投稿者プロフィール
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「社労士探しのトライ」運営者の山崎です。
全国で社労士紹介のコーディネーターをしています。
社労士さんについて知らない社長さまも多く、考え方のギャップを 埋めたい!と思い立ちこのブログサイトを立ち上げました。社労士の変更、新しく社労士をつけたい方はぜひご相談ください!
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