ある程度の従業員数がいる会社では、「就業規則」があるのが、当然だと考えられています。
しかしそもそも就業規則を作ることに意味があるのでしょうか。
多くの場合、非常に長い書類になりますので、そもそも作るのが大変です。
その上、それを社員に説明する場合には、より多くの時間が必要ですし、ほとんどの社員は内容を確認した経験しかないでしょう。
しかし、従業員数が10人以上の会社には、就業規則を作る義務が生じます。
そこで今回は、就業規則を作るメリットについてお話したいと思います。
目次
就業規則を作るメリット!
就業規則を作るのは、どのようなメリットがあるからなのでしょうか。
続きをご覧ください。
1 明確なルールを決めるため
1つは明確なルールを決めるという点でメリットがあります。
小さな会社では、暗黙の了解になっているような内容を明記することで、お互いに気持ちよく仕事をすることができます。
例えば、有給休暇について明記されていない場合、従業員はいつどのくらいの日数の有給休暇が付与されているのか、わからないかもしれません。
日本の会社では、まだまだ休暇を自由に取れる風習はないですから、なんとなく有給休暇を取りづらい、なんとなくわからないから聞きにくい。
こういった不満は、徐々に溜まって急に社員が辞めると言い出してきたりします。
そうならないためにも、きちんと決まりを明記しておくことが重要です。
2 トラブルを事前に回避するため
就業規則を作るメリットとしては、トラブルを回避することが挙げられます。
これは、会社を守るという意味だけではなく、従業員を守ることにも繋がります。
言った言わないの話は、非常に解決が難しいです。
そのため、トラブルが起こった時には、就業規則に基づいて解決をすると、スムーズ且つ公正に判断ができます。
特に、会社を辞めた社員とトラブルになる所は多いかと思います。
円満退社できれば良いですが、後々文句を言ってくる場合などには、最悪業務が止まってしまうケースもあります。
そういった事が無いように、お互いを守るツールとして就業規則が必要になるのです。
3 会社としての信用が生まれる
特に入社したての社員は、これからの社員としての生活に少なからず不安を持っています。
特に新卒の社員は、初めての会社ですから、不安も多いでしょう。
社員にとって、会社としての制度を知るために最初に見るべきが就業規則です。
きちんと残業代が出るのかや、有給休暇が取れるのか、福利厚生などについて気になる社員は多く、書類として明記されているだけで安心できるのです。
2 就業規則を作る上での注意点
就業規則を作る上で、注意する点がいくつかあります。
1 どこに保存されているのかをわかりやすくする
印刷物を渡しても良いですが、紙の書類はどこにしまったのかわからなくなりますので、データとして保存することをお勧めします。
その際に、誰もがすぐに分かる場所に保存しておくのが重要でしょう。
そうしないと、「就業規則ってどこにありましたっけ?」
という問い合わせによって、業務が中断されてしまう可能性があります。
大きな会社で、人数が多いほど、少しの問い合わせが積み重なって、通常業務にも影響しかねませんので、置き場所には注意しましょう。
2 いつでも確認しやすい社内環境づくり
就業規則を確認している時間は、本来の業務は進みません。
そのため、真面目な社員ほど「就業規則を業務時間内に見ていても良いのだろうか」
と不安に感じていることでしょう。
特に、直属の上司が厳しい人であるほどその傾向は強いでしょう。
ですので、いつでも誰でも確認しやすい職場環境づくりが重要になります。
3 適切な内容修正・見直しをする
就業規則は、その時によって最も適したものにする必要があります。
例えば今回の働き方改革では、最終有給取得日から1年間の間に5日間の年次有給休暇を取得する必要性が出ました。
そのため、会社によってはそれに関する内容を一新する必要が出てくるでしょう。
例えば、年次有給休暇の5日間取得は、有休の取得が10日以上の人が対象になります。
しかし、福利厚生として冠婚葬祭に特別に有休が発生する場合に、元々は10日を超えていない人が超えた場合、対象になるのか。
こういった特殊なケースは稀かもしれませんが、従業員数が多くなるほど、可能性は高くなります。
法改正に伴って、順次内容を変更していくことが重要でしょう。
3 就業規則はどのように作るのか
では、就業規則はどのように作ればよいのでしょうか。
1 内容の作成
まずは、内容を作成していきます。
東京労働局がテンプレートを作っていますので、こちらを参考にするのが一般的でしょう。
必ず入れる必要のある項目は、
・労働時間(始業/終業/休憩/休日)
・賃金関係(支払い方法/締め日/昇給等)
・退職関係(解雇など含む)
となっており、必ず記載するようにしましょう。
また、必ず必要というわけではありませんが、社内で制度を設けるのであれば記載が必要な項目としては
・退職手当
・臨時の賃金
・食費や作業用品などの費用負担
・安全衛生
・職業訓練
・災害補償/傷病手当
・表彰
などがあります。
また就業規則はテンプレートだけではカバーできないことも多く、会社によって内容が全く異なりますので、少しコストはかかりますが、社労士に作成をお任せすることをおススメします。
2 行政官庁への提出
作った就業規則は、行政官庁へ届け出をする必要があります。
複数の事業所がある企業であれば、通常は事業所ごとに就業規則を提出するのが一般的です。
ただし、本社の就業規則と全く同じ場合には、一括で届け出ることが可能になっています。
注意するべき点としては、労働者代表の意見添付が必要になります。
労働者代表とは、役員や管理監督者以外の従業員の過半数によって選ばれた代表者になります。
3 社員への周知
就業規則を提出したら、その事を社員に周知しておきましょう。
折角就業規則を作っても、社員がその事を知らなければ意味がありません。
全社的にメールなどで案内できる場合には、文章で残しておくことで、履歴管理もできますので、良いでしょう。
ある程度の従業員数がいる会社であれば、社内のポータルサイトのような所で周知するのも良いでしょう。
まとめ
今回は、就業規則を作ることのメリットについて見てきました。
従業員数が10人以上の会社では必要になってくるということでしたが、そのメリットも大きなものでした。
特に、人数が大きくなってくると、どうしても経営者が1人1人の事をきっちりと把握するのが難しくなります。
そのため、考えの相違やトラブルが起こる可能性は十分にあります。
そういった時に、会社だけではなく、従業員自身も守ることができる就業規則は、是非きちんと作成して欲しいと思います。
また、作成にあたっては社労士への相談が非常に便利になっていますので、ぜひご相談をいただければ幸いです。
投稿者プロフィール
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「社労士探しのトライ」運営者の山崎です。
全国で社労士紹介のコーディネーターをしています。
社労士さんについて知らない社長さまも多く、考え方のギャップを 埋めたい!と思い立ちこのブログサイトを立ち上げました。社労士の変更、新しく社労士をつけたい方はぜひご相談ください!
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