就業規則

【就業規則を変更・改正したら、届けの必要はある?】注意点はある?

就業規則は、時代や自社の状況によって変更する必要があります。

 

常に見るものではないですが、「法律の改正」や「社会情勢の変化」によって、きちんとした内容の就業規則を作らなければ、トラブルが起きる原因にもなります。

 

しかし、簡単に変更をしてしまっても大丈夫なのか。

 

今回は、もしも就業規則を変更する際には、届け出が必要なのかなど、注意点を上げていきたいと思います。

 

1.就業規則を変更する必要があるケース

まずは、どのような時に就業規則の変更を行うべきなのかを確認しましょう。

 

就業規則の変更が必要なパターンには、次のようなものがあります。

・法改正
・固定残業代制度の導入
・手当の新設/廃止などの給与に関連する変更
・就業時間を変更
・賃金体系を変更
・在宅勤務制度の導入
・内容に不備がある場合や実態とのズレがある時

これらが発生する時には、出来るだけ早く就業規則を変更しましょう。

特に賃金に関わることは、シビアです。

 

就業規則の内容と実態が違っていれば、裁判になる可能性もありますし、労働基準監督署からの注意を受ける可能性も高いです。

 

就業規則を作るメリットってあるの?作成する上で注意点はある?ある程度の従業員数がいる会社では、「就業規則」があるのが、当然だと考えられています。 しかしそもそも就業規則を作ることに意味がある...

 

2.就業規則の変更手順

次に、どのような手順で就業規則を変更するのかを説明します。

まずは、就業規則をどのように変えていくのかという発案があります。

 

次に、その変更内容について、従業員の代表からの意見を聞くことが義務付けられています。

 

この従業員の代表は、過半数を超える労働組合がある場合にはその中から、ない場合には過半数を超える人の中から代表を用意する必要があります。

 

実際に内容を変更したら、その内容を労働基準監督署に持っていき、就業規則変更届を提出します。

 

その後、変更した内容を社内に通達するという流れになっています。

①どのように就業規則を変えていくか発案!

②従業員の代表に意見を聞く!

③内容変更後、労働基準監督署で変更届を提出!

④社内に通達!

3.就業規則を変更する上での注意点

就業規則を変更する上では、いくつかの注意点があります。

 

1.周知はきちんと行う

就業規則を変更した場合、その変更をきちんと社員に通達する必要があります。

就業規則の変更は会社都合ですので、従業員が把握していない場合には、トラブルの原因になります。

周知の方法は労働基準法で決まっています。

 

・誰でも見れる場所への掲示
・書面で渡す
・データとして全員が見れる場所に保管

という方法があります。

詳しくは別記事に譲りますが、いずれかの方法できちんと周知する事が重要です。

 

特に、次に説明する裁判の判例でもそうですが、「変更の無効」が問題になるのは、この周知がきちんと行われていない事も大きな原因と言えます。

 

2.過去には就業規則によって裁判も起こっている

就業規則が正しくないと、様々なトラブルが発生します。

その中でも、裁判になるような事件は非常に問題で、金銭的な影響もさることながら、会社としての信用に関わってくるのが、非常に困ります。

 

過去には、

・基本給を減額して固定残業手当を増やす就業規則の変更を無効と判断し、「約540万円」の支払命令(スーパーマーケット東京豊洲店事件)

・年功序列型の賃金制度から成果主義型の賃金制度に移行する就業規則の変更を無効と判断し、「約1200万円」の支払命令 (クリスタル観光バス事件)

などといった判例もあります。

 

就業規則を変更したことをきちんと従業員が理解していないことが主な原因で、変更するにあたっては、前述したとおりきちんとした周知を行いましょう。

 

3.従業員に不利な変更も可能

従業員に不利になるものの、会社にとっては有利に働く就業規則の変更は、大いにあり得るでしょう。

 

例えば、所定労働時間が短かったのであれば、所定労働時間を8時間に伸ばすことで、少なからず売上が伸びる可能性が出てきます。

 

他にも、年功序列制度から成果報酬に変更することで、社員のモチベーションが上がったり、若い世代が頑張りやすい環境を作ることができます。

 

しかし、そういった変更によって長く会社にいる人は、不利になる可能性もあります。

 

前述したとおり、過半数の従業員の代表者が変更内容についての意見を求められます。

ということは、従業員が不利になる内容の変更はできないのでしょうか。

 

実は、「できます」。

この意見を求める制度ですが、実際にその意見どおりに話を進める事を求められているのではなく、あくまでもきちんと意見を聞くことが目的になっています。

 

ですので、意見は聞いたものの、決定事項として不利になる変更をすることは十分に可能です。

これが、法律を超える範囲で不利なものに変更することはできませんが、法律をきちんと守っていれば、従業員が不利になる変更も可能なのです。

 

この時に、労働契約法の10条には、下記の5点から変更を検討するべきであると定められています。

1.労働者の受ける不利益の程度はどれくらいか?
2.労働条件の変更の必要性はどれくらいあるか?
3.変更後の就業規則の内容は社会通念上適切か?
4.労働組合や労働者代表との交渉の状況はどのようなものか?
5.その他の就業規則の変更に関連する事情はどうか?

これらの観点から妥当ではないと判断できる変更に関しては、「非合理である」と判断されます。

 

4.基本は事業所単位での提出

就業規則は、原則として各事業所ごとに提出する必要があります。

しかし、就業規則の内容が本社と全く同じ場合には、本社で一括で提出することが可能になっています。

 

また、就業規則を定める必要があるのは、原則従業員数が10名以上になりますが、これは会社全体ではなく、事業所単位での人数になります。

 

例えば、美容室などは規模によっては従業員数が非常に少ないでしょう。

 

そのため、10名以下の場所も非常に多く、こういった場合には就業規則を用意する必要はありません。

 

5.提出義務を怠れば罰金もある

就業規則の作成が必要な事業所単位で10名以上の従業員がいる場合、提出していないことがばれれば、法的に罰則を受ける可能性があります。

 

その金額は30万円以下です。

 

また、金銭的なマイナスがあること意外にも、長期的に見た時のトラブル回避策としても、きちんと提出しておきましょう。

 

6.周知方法は複数の方法でも良い

周知に関する方法は、前述したとおり3種類ありましたが、どれか1つにする必要はありません。

そのため、不安であれば複数の方法を並行して行うのも良いでしょう。

 

例えば、

社内の共有フォルダに保管しておき、印刷物も配布する。

加えて変更点などをメールでも送信する。

このように複数の方法で周知しておけば、トラブルになった時に会社を守ることになるでしょう。

 

まとめ

今回は、就業規則の変更に関する注意点などをまとめてきました。

 

内容を変更する際には、従業員の代表へ意見を求めたり、労働基準監督署に変更内容を提出したりする必要があることを書いてきましたが、それほど難しい手続きはありませんでした。

 

最も注意するべきは、裁判などのトラブルになる可能性のある「周知」ができているかどうかかもしれません。

 

会社によっては、

「就業規則ってどこにあったっけ?」

といった状態になっている会社も少なくないでしょう。

 

そのような状態であれば、トラブルになる可能性は十分にありますので、保管方法など注意する必要があります。

 

就業規則に関する内容やトラブルにならない方法などは、社労士に相談するのが一番です。

法律や時代などによって少しずつ変化していきますので、最新の情報を入手しておく必要があるでしょう。

投稿者プロフィール

山崎友也(やまさきともや)
山崎友也(やまさきともや)
「社労士探しのトライ」運営者の山崎です。
全国で社労士紹介のコーディネーターをしています。
社労士さんについて知らない社長さまも多く、考え方のギャップを 埋めたい!と思い立ちこのブログサイトを立ち上げました。社労士の変更、新しく社労士をつけたい方はぜひご相談ください!
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