会社によっては正社員は少人数で、従業員のほとんどがバイトやパートタイマーで回しているところもあるのではないでしょうか。
会社によっても雇用形態はさまざまなものがあります。アルバイトばかりの会社であっても就業規則を作成したほうがいいのか、悩んでいる経営者の方もいると思います。
バイト・パートタイマーの就業規則の考え方について説明します。
目次
アルバイトの労働体系は?
アルバイトの雇用については、平成20年以降多くの法改正が行われています。
それまでさまざまなトラブルがあり、なかには訴訟を起こされてしまったケースもあります。
そのため正社員だけでなくアルバイトも、就業規則は必要だと考えられるようになりました。
そもそもアルバイトとは法律上で定められた用語ではありません。そのためさまざまな意味合いで使われる用語になります。
一般的には正社員よりも労働時間が短く、主婦や学生などの若手の従業員を指すことが多い傾向にあります。
また時給で雇われている人達が多いので、働いた分稼げます。実はアルバイトは法律上パート社員(パートタイマー)の扱いになります。
10人以上の従業員はアルバイト就業規則が必要
就業規則については会社で常時10人以上の従業員を雇っている会社では、作成しなくてはいけない義務があります。
これは正社員だけに限らずアルバイトやパートも同じ扱いになります。
そのため会社の従業員がほとんどアルバイトだとしても、10人を超えているのであれば就業規則を作成し労働基準監督署に提出しなくてはいけません。
アルバイトの人数が多い会社だと、就業規則を複数枚用意するか注意書きを入れて説明しないといけません。
正社員やアルバイトなどの雇用形態の内容に関わらず、就労規則に記載しなくてはいけない内容は全く同じです。
有給休暇が利用できるのは正社員だけだと思っている人もいるのですが、アルバイトでも所定の法定労働時間を超えている場合、有給や時間外手当なども支払わなくてはいけません。
アルバイトであっても1週間のうち1日は、法定休日を取らせなくてはいけないと決められています。
もし働かせなくてはいけないときは、【労働者の過半数に当たる代表者と協定を結ぶ】など、勝手に決められないようになっています。
就業規則はアルバイト用が必要?
会社にとって就業規則を作るとき、主に正社員向けに作ることが多いと思います。
経営者のなかにはこの就業規則について正しい知識を持ち合わせていないばかりに、アルバイトにも正社員用の就業規則を結んでしまうことがあります。
アルバイトと契約を結ぶときに労働契約書も記入していると思いますが、就業規則のほうが優先度が高くなります。
例えば正社員に年2回の賞与を支給と書いてあったとします。
採用時にアルバイトだとしても、この就業規則を使って契約したのであれば、賞与を支払わなくてはいけなくなります。
会社によって正社員だけでなく、アルバイトやパートの採用をするのであれば雇用形態別に就業規則を作成する必要があります。
また就業規則を複数枚作ると費用が高額になってしまうというのであれば、1枚に統一してしまい、「賞与はアルバイトやパートには適用しない」といった文言入れることで対応できる場合もあります。
雇用形態によっての条件がそこまで変わらないのであれば、この方法でも対応できます。
ただ部分ごとに違うのであれば、アルバイト用やパート用の就業規則を作っておいたほうが安心です。
アルバイトと就業規則を結ぶときに注意したいこと
アルバイトと就業規則の契約をする前に、覚えておいて欲しい注意点について紹介します。
1. 無断欠勤
アルバイトなどの勤務形態だと、よく問題になるのが無断欠勤です。
無断欠勤の回数によっても変わりますが、会社によっては給料を減額するなどの処理を行うこともあります。
無断欠勤を何度も繰り返していると、まわりの社員の士気を下げる原因にもなってしまいますし、何も対策しないわけにはいきません。
減額する可能性のあるアルバイトでは、就業規則に「減給の制裁」について記しておく必要があります。
この金額についても上限が決められていますので、勝手に判断して減給の対応をしないように注意してください。
2. 均等待遇原則
平成20年に行われたパートタイム労働法によって、
「正社員と仕事の内容、責任の程度、配置転換の範囲などが変わらないパート社員は、賃金の額等において正社員と均等の待遇にしなければならない」と義務付けています。
どうしても正社員とパート社員では待遇に差が出てしまうことも少なくないものです。
でも仕事内容に違いがない場合は、こういった待遇の差は禁止になっています。
正社員とパート社員で給料面等に違いがあるときは、仕事の責任の程度や配置展開などの範囲を変えなくてはいけません。
3. 無期転換
平成25年に行われた労働契約法改正によって、期間が限られている従業員について通算5年を超えて更新した場合は、社員から希望があれば雇用契約を期限なしの直接契約に転換することを義務付けています。
その法律ができたことによって、アルバイトの就業規則に定年の規定や、契約更新の上限について記載することとされています。
4. 雇い止めの通知
労働基準法によって定められているのが、雇い止め前の通知ルールです。
更新3回以上または通年1年を超えて雇用している社員で、契約を更新せずに終了する雇い止めの場合は、「30日前」までに予告するのが義務付けられています。
急に雇用を切ることはできず、30日間は働かせなくてはいけません。
アルバイトのような雇用形態だと収入が不安定になってしまいがちですが、それらの心配がなくなるのが雇い止めの通知なのです。
新しい仕事を探す余裕もできますね。
【まとめ】
会社によってはバイトを中心に業務を回しているところもあると思います。
正社員とは違った契約や待遇になりますので、アルバイトならではの雇用時の注意点についてもしっかりと把握して置く必要があります。
雇用条件について経営者が理解していないと後々トラブルの原因になってしまうこともあります。
アルバイトだからといって不当な扱いをしてはいけませんし、就業規則をしっかりと結ぶようにしてくださいね。
投稿者プロフィール
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「社労士探しのトライ」運営者の山崎です。
全国で社労士紹介のコーディネーターをしています。
社労士さんについて知らない社長さまも多く、考え方のギャップを 埋めたい!と思い立ちこのブログサイトを立ち上げました。社労士の変更、新しく社労士をつけたい方はぜひご相談ください!
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